企業調査ブログ(第四回)事例紹介:競合企業ベンチマーク調査

2018年8月27日 | 企業調査・競合調査

今回、ご紹介する企業調査事例は、当初「立地開発の観点で競合調査」の予定でしたが、変更させていただき「競合の営業構造の変化」の真相をキャッチアップした調査のご紹介に変更させていただきます。

自社と同じような営業構造を持つ業界トップ企業が、営業構造を「ガラリ」と変えたことがマスコミの話題となり、その真相と戦略を解明し、自社でベンチマークするための調査です。

なお今回もデータはダミーであることをご了承ください。

事例3「競合企業ベンチマーク調査」(化粧品)

調査概要

1:目的と背景

クライアント企業は、市場で古くから事業を営んでいた。

同じような営業構造を持ち、業界トップになった競合企業が、今回、販売体制を見直し営業効率が上がったとメディアに取り上げられていた。

そこでクライアント企業は、自社でも応用できるのではないかと考え、営業構造を変えた背景、真相、戦略を解明し、自社に応用できる点はないかといった視点で調査の依頼があった。

2:競合関係が激しくなってきた市場

化粧品業界

3:調査対象

トップ企業A社

4:調査項目

A)人事戦略調査

①販売員絞り込みの基準、手順、期間

②削減対象社の処遇(販売継続の可否、契約解除となるのかなど)

③一人当たりの売上効率アップの理由

④削減前と削減後の処遇の違い

B)店舗戦略

①エステ形式販売店の出店

②初期投資総額と本社負担額

③出店条件(立地・オーナーになるための条件・所有金額・実績など)

④販売条件

⑤店舗スタッフ数

⑥メニューと価格の決定権(店舗or本部)

⑦スタッフ教育の考え方と手法

⑧ロイヤルティと本部からの支援費用

⑨店舗運営

・物件開発の方法

・物件の合格基準

・優良店舗の財務状況と優良店舗数

・撤退基準と撤退時のペナルティの有無

5:調査期間

約3週間

6:調査手法

A)調査対象企業本社、店舗、販売員に対するヒアリング

本社=経営企画部

店舗=店長

営業員=現役の契約営業員

B)調査対象企業と取引のある銀行や企業に対するヒアリング(いわゆる裏とり調査)

7:調査費用<目安>

1社100万円~

なお、企業調査は、オープンデータに基づく調査、当該企業等へのヒアリングを行います。企業規模の大小にかかわらず1社あたりの調査費用はほぼ変わりません。

調査結果のご紹介

A:販売員の数を大幅に削減したことについて

【再編方法】

稼働率に応じて、稼働の高い人(同業界ではよくある自分用の商品購入を除いて売上貢献をしている)のみを残した

【再編理由】

・登録者の人数を確保することで販促効果を期待する時代は終了した(単に数が多いだけでは、かえってサービスが低下し逆効果になる危険もある)。

・不要な人材を抱えているのはさまざまなリスクもある。

・リスクに加えて、事務等の手続きコストの削減も期待できる。

【再編した結果】

・営業方法等について、実態としての変化は特に無い。(公表人数と職種の名前が変わっただけ)

→稼働の低い人が再編されただけなので、経営面の影響は少なく、むしろ一人当たりの売上効率が向上した。

・再編によって販売員から外れた人も「商品の安価購入」などの既得権を残すことに配慮した結果、不満は最小限にとどまった。

 B:店舗戦略

【エステ店舗形態】

タイプ1=販売員が化粧品を販売するために、半ば個人的に立ち上げた簡易エステ店

タイプ2=本部が戦略をもって大規模店として立ち上げた本格的なエステ店

【本部支援】

タイプ1=販売員の自宅等に簡易エステスペースを設置する仕組みであるため、立地、物件内容、内外装デザインは販売員に一任。本部からの金銭的支援なし。

タイプ2=本部が統括し出店。初期投資、内外装デザインは本部主導。

【店舗の戦略的意義】

タイプ1=商品販売のためのツールである。すなわち販売員とお客様の接点となる店舗。

タイプ2=新たなビジネスモデルの基盤 →人間関係に頼らないビジネスとするための新たな戦略的手法。

 

調査結果抜粋

○販売員の絞り込みの基準、手順、期間

販売員は名称を変え、約3年で人員を大幅に削減した。その結果として一人当たりの売り上げ効率が上がり、1人あたりにすると数倍の売上を計上していると、メディアを中心にA社は喧伝している。

一見すると、販売員のリストラにより経営効率を上げたかに見えるが、実態は変わっていない。

A社の旧・販売員は、以下の4タイプに分類される。この4タイプを新しい販売員と割引購入のできる会員として整理した。

キャリア型  :販売員として生計を立てているタイプ(月間平均売上高が数十万以上と規定されている)

家計補填型  :副業的要素が強いタイプ

購入割引重視型:他の人には販売せず、自分の購入時の社内割引のために登録しているタイプ

お付き合い型 :販売員には登録者を増加させるミッションがあるため友人を中心に「登録だけ」してもらうことが多い。その登録しただけのタイプ。

このように、旧・販売員のキャリア型の大部分と家計補填型のやる気のある一部の人を新・販売員として、新たな名称にしたようです。新・販売員になれなかった人も割引購入ができるなど、既得権益に変更はないため、不満は特に発生しなかった。

<参考:やり手のキャリア型販売員のペルソナとその1日>

★ペルソナ
・累計数億円の販売実績。
・休み無く働き、販売員の売上高ランキングでは上位入りすることを目標にしている。
・20歳代から販売員となり、結婚、子育て期間も休むこと無く働き、報酬はフルコミッション歩合制。
・年収は1,000万円弱。

★ある日の行動
・8時過ぎには家を出て、自家用車で営業先の地区へ向かう。
・買い物や食事は、顧客訪問の合間。
・顧客との会話はノートを作って、毎回メモを取る。
・その日にあった出来事・好きな食べ物・孫の名前まで書き込み、再訪問前に確認する。
・昼と夜、1日2回マッサージを施して、化粧品の効果を実感してもらう。

 ○エステ店の実態

2タイプあるエステ店の実態は以下の通り。

タイプ1は、A社本部主導で始まったものではない。販売員が営業成績向上させるため試行錯誤するうちに生まれたもの。訪問販売が「家に来られるのは抵抗」がある人向けに販売員が自主的に事務所や自宅の一角にエステスペースを併設したもの。なお販売員が自主的な判断で併設したものなので、本部は一切の金銭負担はしていない。

ただし、現在の販売員の事務所は顧客を迎えることを想定していない自宅やマンションの一部屋が多いため、消費者からの認知性は極めて低く、エステに必要となされる非日常的な雰囲気作りもなされていない(図2参照)。そのため現状以上の集客効果が見込めない状況にある。そこで本部主導で始まったのがタイプ2のエステ店である。
タイプ2のエステ店は本格的なエステとカウンセリング、化粧品販売を融合した専用の路面店で、都市の目抜き通りを中心に出店し消費者への認知度を大きく向上させる広告塔としての役割も担っている(図3参照)。そのため基本的にはA社の直接出店(初期費用の負担は全額A社)となっている。

<図2>

<図3>

おわりに

第3社目の事例紹介は以上です。

 

A社の調査報告はクライアント様の営業員の構造変更に大きな影響を及ぼしそうで、戦略が変わるようでした。

競合企業調査は、競合のことが把握できることはもちろんですが、自社についても再度見直す機会になっているようです。

次回は、今回ご紹介予定であった「立地開発の観点で競合調査」を行った事例をご紹介いたします。

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